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行徳神社めぐり2020|withコロナの時代に登場したスマホスタンプラリーイベント

行徳神社めぐり2020|withコロナの時代に登場したスマホスタンプラリーイベント

新型コロナウイルスによる未曾有の事態に世界中が直面した2020年。
祭りやイベントがことごとく中止となり、神輿のまちを謳う行徳にとっては影響が少なくないわけがありません。

しかしながら欧米ほど感染爆発していないといわれる日本では、ニューノーマルの名のもと、徐々にですが可能な範囲で前に進もうという動きが各方面で生まれてきています。
新型コロナウイルス感染予防策をとりつつ開催できるスタンプラリーもそのひとつ。

市川市内においても、中止となった行徳まつりの代替イベントとして、新たに行徳神社めぐりなるスタンプラリーが開催される運びとなりました。

withコロナの時代にも楽しめるスマホスタンプラリー

11月3日の文化の日に開催された行徳神社めぐり。
行徳地区の神社や関連施設を対象とし、スマホの専用アプリを用いたスタンプラリー形式のイベントです。
三密になりにくいスタンプラリーはコロナ禍でも工夫次第で開催可能。
街歩きしながら神輿についても学べる催しです。

今回訪れるのはチラシのマップに描かれた14箇所。
江戸川のほとりから浦安市に近接しているところまで広範囲にわたります。
スタンプラリーアプリfurariをダウンロードして、いざスタート!
(※地図クリックで拡大します)
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jinja.png(1)妙典春日神社:お祭りで担ぐのは獅子頭

妙典駅からほど近い妙典春日神社からスタートしました。
地面に大きく妙典と書かれた境内は、人出もそこそこお囃子も出て賑やか。
こんな光景は久しぶり。
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獅子頭を横目にQRコードを読み込みスタンプ1つ目ゲット。
もちろんお参りも忘れません。
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妙典春日神社の祭礼では、3年に一度の本祭りにて神輿の代わりに獅子頭が渡御を行います。
行徳担ぎの伝統は獅子頭にも受け継がれ。
自由に荒ぶる獅子頭渡御は神輿とはまた異なる趣き。
前回2018年の模様はこちら
次回はコロナが落ち着けば2021年の予定。

jinja.png(2)上妙典八幡神社:行徳最大の千貫神輿

続いてすぐ近くにある上妙典八幡神社へ。
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千貫神輿と称され、台輪四尺一寸、推定1tともいわれる地区最重量級の神社神輿が堂々と構えています。
外観は行徳神輿に多い延屋根神社型塗神輿。
神輿師ではなく昭和初期に地元の大工2名により製作された、現存する行徳神輿としては珍しいタイプになります。
後藤直光による装飾がほどこされているものの、大工の作品らしく質実剛健さがみられ、当時の価値観に合わせ担ぎやすさよりも重さを重視した構造。
台輪寸法では本行徳神明(豊受)神社の神輿のほうに軍配上がりますが、重さはこちらのほうがはるかに上。
重すぎるため担ぐ際には行徳揉みの「ほうり」が省略されるほどです。
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各スポットにあるQRコードを読み込むと、アプリ内のスタンプがたまっていきます。
スタンプ2つめゲット。
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今年は本祭で神輿渡御が行われる予定でしたが、コロナ禍により来年以降へ持ち越し。
前回2017年の模様はこちら
担ぎ手不足等による中断の時期から復活しただけ経緯をもつことからも、ここで途絶えてほしくないものです。

jinja.png(3)河原春日神社:江戸川の歴史とともに歩む

バイパス越えて行徳橋のふもとにある河原春日神社へ。
3箇所目のスポットにあたる河原春日神社は、行徳妙典民の方々でもあまり馴染みがないかもしれません。
今回のイベントは足を運ぶ貴重な機会となりました(当ブログでは妙典橋・行徳橋サイクリングの記事にて少しふれています)。
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2つの鳥居が並び、春日神社拝殿・本殿の隣にはもうひとつ拝殿が。
これは大正時代、江戸川放水路工事にちなみ胡録神社の隣に移転したことによります。
江戸川の歴史が垣間見られる光景です。
今年は行徳橋架け替えという新たな歴史が加わりましたね。
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境内に展示されている神輿は、平成9(1997)年に中台製作所にて製造された一尺三寸の小ぶりなもの。
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拝殿に並ぶ、明治時代に製作された雄雌の獅子頭。
顎寸法二尺というから妙典春日神社の獅子頭(二尺三寸)よりもひとまわり小さなサイズ。
2014年の行徳まつりで両神社の獅子頭が仲良く展示されていたのを思い出しました。
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レンコンの家の露店で行徳産シイタケ購入。肉厚で立派なシイタケですね。
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jinja.png(4)神明(豊受)神社:五ヶ町の神輿渡御はここからスタート

続いては本行徳にある神明(豊受)神社へ。
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五ヶ町の総鎮守である神明(豊受)神社。
五ヶ町祭りの神輿はこの神社から宮出しされ、5つの町内を一日かけてまわります。
神社神輿は大正7(1918)年十四代浅子周慶作。
台輪五尺七寸、重量はおよそ500kg近くはあるかと推測される大神輿です。
5つの町(本行徳1~4丁目と本塩)の提灯が横一列に並ぶ珍しい姿の展示でした。
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まるで新品のような美しい塗りの子供神輿。
塗りの修理が行われたばかりとのことで、ここでは記しませんがその費用も耳に入ってきた次第。
子供神輿とはいえメンテナンスに費やす金額は甚大なものですね。
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神輿のまち行徳を代表するお祭りである五ヶ町の例大祭は3年おきに開催されます。
今年開催されるはずでしたが、やはりコロナの影響により中止。
神輿が街を練り歩く日はいつ訪れるのでしょうか。
前回2017年の模様はこちら

妙典から本行徳は神社仏閣が集中しているエリアのため、開始から1時間も経たずに4つめのスタンプを手に入れることができました。
ミッションクリアまではあと1つ。順調かな。

mikoshi.png(5)行徳神輿ミュージアム:行徳神輿の世界へようこそ

5箇所目は中台製作所に併設されている行徳神輿ミュージアム
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神輿の製作工程や技術が無料で学べるありがたき博物館。
木の香りと神輿の装飾がもたらす豪華絢爛な輝きに包まれた空間で、匠の技が身近に感じられます。
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ときには奉納前の神輿が展示されていることも。
2020年11月現在は府中市の大國魂神社の三之宮神輿が展示されています。
毎年5月開催のくらやみ祭がコロナで中止となり、修理を終えても納品できず預かったままの神輿が、発注元のご厚意により行徳神輿ミュージアムに展示されているそうです。
くらやみ祭は競馬式(こまくらべ)を観に行ったことはありますが、メインの「おいで」とよばれる神輿渡御は夜間に行われることもあり、府中市まで観に行きたくても実現できそうにありません。
そのお祭りの神輿と行徳の地で巡り会えたのも何かの縁かもしれませんね。
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こちらの神輿は昭和9(1934)年六世後藤直光作の行徳神輿。
大屋根の菊の紋章は当時の宮内省に使用許可をいただいたもの。
配置には見下げない・息がかからない場所などの特別な配慮がなされました。
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行徳神輿について興味を持たれましたら、昨年12月に開催された「しる・みる・もむ 行徳神輿」のレポをぜひご覧ください。
当ブログでも行徳神輿ミュージアムの記事を近々書きたいと考えています。
→書きました。レポはこちら

スタンプ5つ集まったので、景品の特製マスクをいただくはずでしたが…なんということでしょう!既に品切れでした?
開始1時間ほどで早くも予定枚数終了したとのことです。
あえなく撃沈しましたが、このままスタンプ集め続けます。
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mikoshi.png(6)行徳ふれあい伝承館:神輿作りの場から行徳神輿の発信拠点へ

気を取り直して6箇所目の行徳ふれあい伝承館へ。
2007年に廃業した浅子神輿店が、行徳神輿を伝えるギャラリーに生まれ変わりました。
当ブログでもオープン1か月後の2018年8月に記事掲載しています。

作業風景や部品など、浅子神輿店に関する展示。
バブル真っ盛りの平成3(1991)年には、日本一の大きさを誇る富岡八幡宮の本社神輿が製作されました。
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今回のイベントでは後藤神輿についての展示もありました。
後藤神輿店のルーツは江戸初期より手がけていた寺社彫刻。
六世後藤直光が活躍した大正から昭和初期の頃より、神輿づくりにも携わるようになりました。
彫刻で築かれた技を活かした神輿は人気を博し、全盛期には年に200基もの神輿を製造していたといわれています。
しかし社会情勢の変化等により、平成10(1998)年頃には廃業してしまいました。
展示されている神輿は上妙典の個人の方の所蔵品。
しる・みる・もむ 行徳神輿」の後藤神輿の紹介コーナーにて展示されていた神輿と同じもののようです。
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jinja.png(7)関ヶ島胡録神社:町内に根付く相撲の伝統

ここ関ヶ島から押切までは町会ごとに単独で祭りを行っています。

7箇所目は拝殿の奥に土俵を構える関ヶ島胡録神社。
地元の相撲経験者たちにより造られた土俵では、行徳と縁のあった昭和の名横綱栃錦関がときには子供たちを指導していたそうで、現在も毎年夏にはちびっこ相撲大会が催されています。
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こちらの神社に祀られているのは獅子頭。
顎寸法一尺六寸と、妙典や河原の神社に比べたら相当な小顔。
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3年に一度の関ヶ島の祭りにおいても獅子頭の渡御が行われますが、妙典春日神社の獅子頭とは異なり担ぎ棒を用いず獅子頭の顎を直接掴みます。
前回2018年の模様はこちら

jinja.png(8)伊勢宿豊受神社:神輿を拝んでスタンプラリー後半へ

いまだ行徳駅前通りを越えてはいませんが、スタンプラリーも後半戦に突入。
8箇所目は伊勢宿豊受神社です。

なんと拝殿に神輿が鎮座しています。
他の神社ではみられない斬新な展示。
台輪寸法二尺五寸と小ぶりな神輿は昭和2(1927)年浅子周慶作。
神輿に向かってご参拝。
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祭礼は3年に一度。
なんと昨年の祭礼では男女混合で担いだそうです。
女神輿や子供神輿を除けば女人禁制の伝統が続いた行徳の神社神輿では初めてのこと。
男性のみが担いでいた宮入のレポですが前回2019年の模様はこちら

jinja.png(9)押切稲荷神社:貴重な後藤神輿店の看板と神輿がここに

9箇所目にしてようやく行徳駅に近づくことができました。
行徳駅から最も近い押切稲荷神社。
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鳥居や手水舎など、ところどころに可愛らしいオブジェがあってそそられます。
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自治会館には後藤直光製の神輿と後藤神輿店の看板が展示。
神輿は大正時代に門前仲町二丁目の町内神輿として製作され、平成2(1990)年新たな神輿が作られたことにより後藤神輿店で保管されていたもの。
現在は押切稲荷神社の祭礼で使用されています。
大正時代の手間暇かけた製作技術が垣間見られる貴重な神輿です。
看板は縁あって押切稲荷神社関係者のもとで保管されるようになりました。
大きな一枚板に刻まれた「神輿専門」の文字に歴史と風格を感じます。
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4年に一度開催される例大祭は次回2022年の予定。
一回お休みし8年ぶりに行われた2018年の祭りでは、坂本冬休みオンステージで大いに盛り上がったものです。
前回2018年の模様はこちら

jinja.png(10)湊水神宮:行徳の水の守り神

さていよいよスタンプ2桁突入。
10箇所目は水神様の祭りでおなじみ湊水天宮。
普段は大変ひっそりしている水神様。
今年はコロナで縁日中止になりましたが、水神様の日は堤防沿いに屋台がびっしりと立ち並び、とても華やかな景色となります。
昨年の模様はこちら
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この日は湊の町会神輿が展示され、少しばかり華やかな風景となりました。
ここ湊からは四ヶ村祭りのお膝元。
昨年の四ヶ村祭りにおいて、湊の町会神輿は担ぎ手の主役として女性の方々が活躍していました。
前回2019年の模様はこちら

jinja.png(11)湊新田胡録神社:行徳の夏祭りといえば「ころく」

11箇所目の湊新田胡録神社も行徳民にはお祭りでなじみ深い場所。
毎年7月14日のお祭りでは、神社境内や周辺道路に屋台が並び大いに賑わいますが、残念ながら今年はその光景を享受することはできませんでした。
昨年の模様はこちら
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拝殿の隣に展示されている湊新田の神輿。
台輪寸法三尺五寸と行徳神輿の中ではかなりの大きさ。
大正11(1922)年後藤直光の手により製造されました。
お祭りや初詣のときにも公開されているため、見たことある方も多いのではないでしょうか。
四ヶ村祭りでは湊新田界隈にて渡御が行われます。
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jinja.png(12)香取神社:四ヶ村祭りの御霊はここに

12箇所目の香取神社は四ヶ村祭りの中心的存在。
3年に一度の四ヶ村祭りでは、こちらの神社神輿が欠真間・香取・湊新田・湊の4つの町にかけて引き継がれ練り歩きます。
宮出しも宮入もここから。
前回2019年の模様はこちら

香取神社の神社神輿・香取の町会神輿・子供神輿の3基が勢揃いした光景は豪華で圧巻の一言。
複数の神輿が並ぶと輝きの相乗効果が生まれますね。
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香取神社の神社神輿は台輪寸法三尺五寸、制作年月や製作者は不明ですが、昭和55(1980)年中台祐信により復元されました。
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よく似た姿の香取自治会神輿(写真左)は同じく三尺五寸の延屋根神社型塗神輿。
こちらは平成7(1995)年に新調された中台祐信製。
欠真間自治会の神輿(写真右)は三尺七寸とこの中では最大ですが、屋根唐破風型塗神輿のためすっきりした姿かたちをしています。
製作年代や製作者は不明とのこと。
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jinja.png(13)相之川日枝神社:宮司さんのいる神社

神社めぐりも残り2箇所でラストスパート。
いよいよ南行徳エリアに入りました。

13箇所目は相之川日枝神社
行徳地区で唯一宮司さんが常駐する神社です。
こちらで七五三詣を行う地元民も少なくないかと思いますが、残念ながら今年の七五三詣は中止。
コロナ禍の影響の大きさをつくづく実感します。
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拝殿の隣に設けられた神輿庫。
ガラス越しではありますが、節分などの行事のときにも見学可能です。
神輿の隣には可愛い厄除けの魔猿(まさる)。
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相之川日枝神社の例大祭は3年に一度。
前回2019年は四ヶ村祭りと同時に行われたため、欠真間の町会神輿とのニアミスなる大変カオスな状況が繰り広げられました。
相之川からは担ぎ手の装いや人員構成などに江戸前の影響が加わるため、それぞれの違いを同時に比べられる貴重な場でもありました。
前回2019年の模様はこちら

jinja.png(14)新井熊野神社:平成生まれの神社神輿は白木の風合い

今井橋通りを越えて新井熊野神社へ。
ついに14箇所目、ゴール地点です!

神輿と獅子頭が展示された境内。
平成19(2007)年に新調された神社神輿はいまだ新品のような風合い。
製作者も現役の神輿師である中台祐信です。
台輪寸法二尺三寸、曲線的な屋根と細身なフォルムが特徴の屋根唐破風型白木総彫神輿になります。
延屋根神社型塗神輿が圧倒的に多い行徳神輿の中では珍しい風合いです。
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熊野神社祭礼の本祭は4年に一度。
本来ならば今年開催されるはずでしたが、来年へ延期となりました。
こちらのお祭りも相之川と同じく江戸前担ぎ。
行徳やお隣浦安とも異なりつつ、似た要素も組み込まれています。
前回2016年の模様はこちら

スタンプ全部集めたら応募!満願証書

これにてめでたくコンプリート。
アプリの画面もこのように表示されました。
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14箇所全てのスタンプを手に入れると、コンプリート記念の満願証書がもらえます。
しかしながらそこはやはりスマホスタンプラリー。
アプリから応募して後日郵送の形になります。
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神社と神輿の密接なつながりを感じた一日

行徳地区の端から端までめぐった今回のスタンプラリー。
思っていた以上に長距離で、神社がこんなにたくさんあるのだと体感いたしました。
また神輿は神社に鎮座する神様をお載せして氏子地域を巡回するために必要不可欠なものだということも、改めて実感することができました。

残念ながら特製マスクにはありつけませんでしたが、ぎりぎり制限時間内に全て制覇できてよかったです。

以前より寺のまち回遊展が行われていたように、寺院めぐりのイベントは盛んだったこの地域ですが、意外にも神社と神輿にテーマを絞った街歩きイベントは初めてかもしれません。

今回のスタンプラリーは未曾有のコロナ禍の中で新たに創出された催し。
まだしばらくこの情勢は続きそうですが、対策とりつつ前向きな一歩が踏み出せるきっかけになったらいいですね。

来年こそはお祭りできたらいいな!

行徳神社めぐりレポートはこちら:2023年 2022年 2021年 2020年

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