コロナ禍の休止から復活を遂げたものの、再び休止の憂き目にあった妙典まつり。
今年3年ぶりに復活し、妙典の街を神輿や獅子頭が元気に渡り歩きました。

■会場は駅ロータリーとイオンの2拠点
3連休ど真ん中11月2日の日曜日。
前週の行徳まつりとは異なり、雨の心配なさそうな曇り空の一日。
妙典駅ロータリーでは、今回の実演で使用される神輿や獅子頭が展示されていました。
今回の妙典まつり最大の目玉は6年ぶりに渡御する下妙典春日神社の獅子頭。
その前に登場した2019年の妙典まつりでは角や宝珠などが金色ベースでしたが、コロナ禍での修復を経て本来の赤胴色ベースにお色直しされました。

今回の実演に使用される神輿は3基。
下妙典の神輿は後藤直光作の行徳神輿。
妙典センタービル1F入口で見かけるあのゴージャスな神輿です。
行徳地区の神輿では珍しい、模様の入った金色屋根と龍の彫刻の鮮やかな採色を施した豪華絢爛な装飾にうっとり。
この日のために用意された妙典まつりの駒札を掲げて。

上妙典の神輿前にお神酒や塩が供えられ、神事でない妙典まつりでも神輿を担ぐことの神聖さを物語っていました。
今回大神輿の展示実演はなし。
後藤直光作の中神輿と子供神輿が展示されています。
市川市行徳ふれあい伝承館(旧浅子神輿店)展示されていたこともある中神輿。
今回の妙典まつりでは大神輿に代わって妙典を渡り歩きます。

第二会場のイオン市川妙典店サークルデッキでは主に物販の露店が出店していました。
市川まちガチャも参戦しています。
行徳神輿札の白バージョン発売中!

浦安名物たまごフライも登場。
かつては浦安の庚申祭や市内のお祭りでふるまわれた浦安元町のソウルフード。
最近浦安市の西敏商店により商品化され、浦安以外の催事でも販売されるようになりました。
甘みのある濃厚なソースとどこか懐かしさを感じる素朴な味わい。

行徳まつりや行徳ハロウィンに比べると出店数は少ないものの、イオン店内という場所柄他で見られないラインナップも。
なんと中古パソコンの露店があるから驚きです。

妙典駅ロータリーにも飲食店やゲームの露店が出ています。
実演前に急いで腹ごしらえしておきましょうか。
妙典2丁目にあるインド料理店doorのモモ(ネパール風の小籠包的なもの)とスパイシーポテトで心とお腹を満たします。

■6年ぶりに妙典まつりを巡った獅子頭
12時半より妙典駅ロータリー内実演の開始です。
トップバッターは下妙典春日神社の獅子頭。
前回2022年の妙典まつりでは修復中により不参加。
修復後の姿では今回が初の妙典まつりとなります。
出発を前に獅子頭のもみを披露。
地すり→さし→ほうり受けはひと通り行いますが、神輿とは一部の所作が異なります。
「地すり」では担ぎ手が獅子頭のほうを向いて囲み、観衆にお尻を向ける形で飛び跳ねながら周回します。

神輿と同じく、片手で担ぎ棒を差し上げる「さし」。

「ヨイヨイヨーイ、ヨヨイノヨーイ!」の掛け声にのせて空中に放って受け止める「ほうり受け」。
これも神輿とほぼ同じです。

互いの獅子頭を近づけて突き合わせるのは、雄雌が対となって動く獅子頭ならでは。

「あんろー、わっしょい」の掛け声とともに、獅子頭はロータリーを飛び越えイオン市川妙典店のサークルデッキ下へ。
時折バスや自動車行き交う路上で雄雌向き合いもみを披露。
サークルデッキから顔をのぞかせて見物している人も多数いますね。

雌の獅子頭に女性の担ぎ手が加わりました。
担ぎ手不足のあおりを受けて、下妙典春日神社祭礼においても昨年の前回より女性解禁となりました。

獅子頭はサークルデッキ下から東西線高架下へと進行。
この行程、当初発表されていた実演ルートにはなかった動きです。
胴幕を延ばし風になびかせる様子が凛々しいですね。

サークルデッキ下を越えて戻ってきた獅子頭。
互いの担ぎ棒を重ね合わせて揺れたり、離れてそれぞれもみを行ったり。
雄雌一対だからこその動きが新鮮に感じます。

一旦ロータリー内に入ったものの、またすぐ逸脱してしまった獅子頭。
雄の獅子頭が実演を終えても、雌の獅子頭はまだまだ粘ります。
そろそろ神輿の出番なんですけどね。

■下妙典と上妙典の神輿が巡る
時刻は13時を少しまわったところ。
雌の獅子頭が激しく粘っている間に、下妙典の神輿は予定通り出発進行。
途中ですれ違うハプニング(?)もありました。

サークルデッキ下へ飛び出そうとする獅子頭と、阻止しようとする激しい攻防。
それから間もなくして、ついに雌の獅子頭も歩みを止めました。

その間に神輿はイオンのサークルデッキ下へ。
豪華絢爛な造りにふさわしい女神輿(男性少々含む)として巡行します。

男性のサポートも入っているとはいえ、担ぎ手のメインは女性たち。
従来の男神輿にも劣ることなくもみの所作を決めています。
ほうり受けも完璧でした。

まだ終わらせないぞと引き返して止められるのもご愛敬。
男神輿と変わらない渡御のお約束ですね。

続いて登場したのは上妙典八幡神社の中神輿。
千貫神輿とよばれる大神輿ほど重くないことから、他の行徳もみと同様ほうり受けも行われます。
2019年に自治会へ寄贈されたこの神輿、2022年の妙典まつりと2023年の上妙典八幡神社祭礼に続き3回目の渡御となります。

サークルデッキ下へ飛び出そうとするのを止められ、手前でもみを行う中神輿。

中神輿が駅前に戻った後も続く雌の獅子頭渡御。
めったに見られないもみの競演、双方の地すりの違いを動画で見比べてください。
ロータリー内実演のトリは子供神輿と山車の巡行。
将来の担ぎ手となりうる子供たちに行徳もみの伝統を教えるまたとないチャンス、大人になったら担ぎ手として参加してほしいものです。

■まだまだ巡行は続く
子供神輿と山車の巡行終了後、獅子頭と中神輿の場外巡行が始まりました。
とはいえ既に前半の行程でイオンのサークルデッキ下より先まで逸脱していたのですけどね。
まずは雌の獅子頭から。
雄の獅子頭がいないのは担ぎ手不足の影響。
神輿渡御も並行している中、雄雌揃って渡御を行うのはさすがに難しいようです。
限りある人数で限界までもみ続ける方々に敬意を抱いてしまいます。

続いて中神輿も渡御開始。

獅子頭と中神輿がサークルデッキ下にてそれぞれもみを披露。
中神輿には女性も加わりさしを決めています。

今回初めてお囃子の山車も巡行に参加しました。

開始から2時間以上経過し、担ぎ手の方々は心身の限界を迎えています。
へろへろになりながらも止まろうとしない様子を観衆は見守るのみ。

祭りも終盤となりあとは妙典駅ロータリーへ戻るだけですが、なんとここで神輿と獅子頭が対峙しています。
こういうレアなシーンが現れるのも妙典まつりだからこそ。

最初に獅子頭が出発してから3時間、ついにフィナーレの時を迎えました。
上妙典の中神輿も綺麗なほうり受けを決めて〆。
皆さん大変お疲れ様でした!

■復活した妙典まつりとこれからにむけて
コロナ禍明けの復活から諸事情による中止と、このところ天候以外の理由で開催が不安定だった妙典まつり。
3年ぶりに開催された今回は、久々の渡御を大喜びしているかのような獅子頭の勢いが強く印象に残りました。
神社祭礼や行徳まつりとの調整もあり、今後どのような開催パターンになるのか未知数ですが、妙典まつりの伝統が末長く続くことを願っています。
妙典まつりの〆は妙典中吹奏楽部名物ALEGRIA。
初期の妙典まつりを知る方の多くは同じ思いだと想像しますが、やはりALEGRIAのメロディと掛け声を聴かないと妙典まつりという気がしないのですよ。
3年ぶりにALEGRIA聴けました♫

▼妙典まつりレポートはこちら(中止の年も多々あります):
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