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屋形船で旧江戸川めぐり舟運体験|行徳から市川・浦安へ

屋形船で旧江戸川めぐり舟運体験|行徳から市川・浦安へ

江戸の人々を支える行徳の塩を運ぶ手段として、また成田詣の遠征ルートとしても重要な役割を果たしていた江戸川水運。
江戸川放水路の開削により旧江戸川と呼ばれるようになり、舟運も衰退した現在の旧江戸川ですが、新たな観光掘り起こしや天災等の緊急移動手段など多くの可能性を秘めています。
江戸川の有効活用を探るべく、このたび行徳郷土文化懇話会主宰のイベントが開催されました。
(※試験運行イベントのため事前告知はなし。よってSNS含め事後報告となりました。)

屋形船に乗って旧江戸川の上流へ

12月21日の朝9時半。
雨予報でしたがなんとか持ち堪えた行徳上空です。
参加者一同常夜灯公園に集まり、出発前のご挨拶。

今回乗船する吉野屋さんの屋形船。
浦安橋のたもとにある吉野屋は山本周五郎「青べか物語」にも登場する船宿です。
本日は社長直々に舵をとっての運航となりました。
ちなみに今回は一般の屋形船のような料理提供はありません。

屋形船は予定通り10時に出航。
多忙につき乗船できなかった田中甲市長にお見送りされ、旧江戸川舟運体験開始です。

主宰の行徳郷土文化懇話会や市川市役所関係者の方々を中心に70名近くも参加した今回の旧江戸川舟運体験。
峯崎会長や田中幸太郎県議をはじめ、さまざまな方から行徳の歴史や水運などのお話が聞ける絶好の機会にもなりました。
峯崎会長からは江戸川の舟運の歴史と復活への期待に向けてのお話がありました。
現在の旧江戸川からは想像もつきませんが、江戸時代には江戸小網町と行徳を結ぶ行徳船とよばれる定期航路が設けられ、塩の輸送や成田詣の旅人を運ぶ定期船として繁栄していたそうです。
明治には蒸気船が運航されて航路も広がりましたが、鉄道の発達により衰退しました。

江戸川水閘門を越えて河原番外地の先へ

屋形船は江戸川水閘門の手前へ。
築80年を超えて老朽化激しい現在の水閘門に代わり、今年度より水閘門の新設工事が始まっています。
新しい水閘門は2033(令和15)年頃完成予定。
現在よりも少し南側のいわゆる河原番外地に接した場所に設置され、車両通行も可能となる予定です。
気軽にアクセスできる希少な県境未定地の河原番外地。
水閘門工事がこの未解決領土係争地に影響を与えるかは未知数ですが、田中幸太郎県議曰く東京都と千葉県の双方にとって良い場所にしたいとのことで、完成により前進できることを期待したいと思います。

いよいよ本日最大のレア体験、2つの閘門通過が始まります。
閘門は水位の異なる水路間(河川や運河など)を船が往来できるようにするため、水位を上下させて調整するために設けられた設備です。
最初に下流側のゲートを開けて、船を閘室(ロック室)の中に入れます。

それでは閘門のゲートが開く様子を動画でどうぞ(音声はカットしています)。

屋形船が閘室の中に入りました。
先ほど開けたゲートを閉め、注水により閘室の水位を上流と同一にします。
川岸の様子から水位が上がっているのも確認できました。
続いてもうひとつの閘門のゲートが開くと、屋形船は閘室を出て江戸川との分岐点に向けて前進。
ゲートを抜けた瞬間、皆拍手喝采でした。

2つの閘門を抜けて振り返ると、窓越しに江戸川水門が確認できました。
自動車通行不可とはいえ、妙典と江戸川区篠崎を結ぶ貴重なルートとしての役割も果たしています。
新設される水門は自動車通行可とする計画があるようで、そうなると便利になりますね。

江戸川放水路との分岐点に達し、京葉道路の鉄橋を越えたあたりでサプライズ。
なんと屋形船の屋上にのぼることができました。
朝霧の影響で霞んではいるものの、川のど真ん中からの眺めは絶好です。
陸地からは想像もできないほど水辺の広さを感じました。
また越冬するため集まった水鳥の群れもちらほらと。
双眼鏡持ってくればバードウォッチングできたのにと激しく後悔いたしました。

12月とは思えない暖かさに恵まれたこの日、徐々に晴れ間も見えて視界も開けつつあります。
江戸川区側の水辺の先にはスカイツリーも見えるようになりました。

折り返して旧江戸川を下る

ここで屋形船は旋回し、旧江戸川を下り始めました。
川の流れに沿って進むため速度も増し、あっという間に江戸川水門へ到達です。

再び2つの閘門を通り抜けます。
閘門のゲートが開き、水位が下がっていくのを確認できました。

さてここからは旧江戸川の景観を記していくこととします。
常夜灯公園から見える旧江戸川の景色といえば、多数の小型船が並ぶ造船所。
行徳側には造船所が存在しないため意外に思うかもしれませんが、旧江戸川沿いには篠崎地区を中心にいくつか造船所が存在し、主に小型船の新造や修繕を行っています。

湊水神宮のすぐそばにある押切水門。
水辺から見る機会がめったになく新鮮なアングル。
行徳民としてはもっぱら(仮称)押切・湊橋の建設動向が気になるところですが、田中幸太郎県議によると2031(令和13)年開通予定として用地買収が進んでいるとのこと。
完成したら柴又街道と行徳駅前通りがつながることになります。

建て替え工事が進む江戸川清掃工場。
日増しに短くなっていた煙突も、完成が近づくにつれ再び長さを取り戻しつつあります。

清掃工場の近くで見かけたマリーナのような建物と係留所。
クルーズ船貸出や船舶販売を行っている業者の施設が設置されています。
先ほどの造船所といい行徳側にはない業態を見ると、旅している気になるから不思議です。

かたや対岸の市川市側。
東京都側では暫定係留所により船舶管理されている反面、千葉県側は船の墓場といわれるほど不法係留船が放置されている状態(県内には他にもこのような場所があります)。
環境汚染や災害時の支障にもなりうる存在ですが、強権発動して撤去できる状況でもないようで、難しいところです。

今井橋は現在のところ行徳地区と江戸川区を直接つなぐ唯一の橋。
1979(昭和54)年に現在の橋が架けられる前は、現在より50mほど上流に架橋されていました。
今でもその名残として橋桁跡を干潮時などに見ることができます。

東日本大震災の前年2010(平成22)年に開園した広尾防災公園。
災害時の避難場所や防災拠点としての役割も担うとともに、裏手の川岸には緊急船着場も設置されています。
対岸の江戸川区側でも防災公園の新設工事中。
田中幸太郎県議によると、旧江戸川は砂が溜まりやすく年1回は取り除く必要が生じるため、緊急時利用も踏まえて行政がその作業に携わるべきだと交渉中とのことでした。

船上から浦安と葛西の風景を眺めて帰還

旧江戸川は新中川と合流し、浦安市と江戸川区の間を東京湾に向かって流れていきます。
屋形船が停泊する浦安市側と、工場などが密集する妙見島という、対照的な対岸の景色が面白いです。

妙見島は江戸川区に属する東京23区唯一の自然島。
コンクリート護岸に囲まれた外観はまるで長崎県の軍艦島のようですが、護岸工事前の1970年代までは川の流れにより下流へ押しやられた「移動する島」だったというから驚きです。

東西線の鉄橋脇に建つ境川西水門。
海抜の低い浦安元町地区での内水氾濫を防ぐため、境川にある2つの水門を開閉し水位コントロールを実施。
潮の干満状況に基づき年間約230日、1回2時間程度ゲートを開放しています。

護岸工事がほぼ完成に近い浦安市側。
堀江地区でも(仮称)押切・湊橋と同じく新しい橋(堀江橋)の架橋懇願中です。
現時点では千葉県側の調査が終了した段階。
完成すれば浦安市のさくら通りと東京都の清砂大橋通りが直結し、葛西方面へのアクセスがとても便利になりますね。

右手にアリオ葛西の看板が見えて間もなく、こんもりとした大木の存在に気がつきました。
これこそがV6解散時に植樹されたブイロクの木
隣接して魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)やなぎさポニーランドなどの近場おでかけによさげなスポット満載。
江戸川で舟下りできれば行きやすいのですけどね。
川岸には江戸川区による防災船着場が整備されていますが、現状では観光用としての使用はされていないようです。

河口へ向かって前進する屋形船。
前方にシンデレラ城とプロメテウス火山が見えてきました。
江戸川水閘門とは全く異なる景色が広がっています。

舞浜大橋と首都高湾岸線や京葉線の鉄橋を越えたら海がますます近くに。
風が強くなり少し寒くなってきました。
車や電車が激しく行き交う下にいると思うとつい興奮してしまいますね。

旧江戸川の河口に到達した屋形船。
東京ディズニーランドホテルをこんなに近くの水上から見るなんて。
今屋形船がいるこの辺りも県境未定地。
千葉県でも東京都でもない地に踏み入れていることになります。
堤防沿いの水際に生えるヨシは、かつて浅瀬が広がっていた名残を示しています。
葛西から参加の方によると、ディズニーリゾート付近には昔牡蠣の養殖場があり、葛西では海苔や牡蠣が獲れたとのこと。

この後は引き返して常夜灯公園へ戻ります。
行徳郷土文化懇話会会長の峯崎さんより、1991(平成3)年に富岡八幡宮の一の宮神輿が旧江戸川と東京湾経由の水運により奉納されたお話を伺いました。
このときの貴重な映像は市川市行徳ふれあい伝承館で視聴可能。ぜひ。

出航してから約3時間。
常夜灯公園に戻ってきました。
変化に富んだ景色とさまざまなお話の数々にふれることのできた貴重な経験でした。
再び実施されてより多くの方々が乗船できるよう願っています。

江戸川舟運の歴史振り返りと復活への期待

ご縁があり参加させていただいた行徳郷土文化懇話会主宰の舟運体験イベント。
屋形船には浦安市の乗合屋形船体験にて乗船したことはありますが、旧江戸川から江戸川水閘門を通過するのは今回が人生初体験とあって、たいへん貴重な体験ができたことに感激しています。
江戸川放水路建設により激変した川の歴史に思いを馳せるとともに、江戸川水閘門や(仮称)押切・湊橋の工事など未来の姿を想像する機会にもなりました。
緊急時輸送と観光機会の双方が期待される江戸川の舟運整備が進むことを願って。

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