朝市が毎月開催されるようになり、少しずつ身近な存在になりつつある市川漁港。
昨年10月に続き、今年もいちかわ三番瀬まつりが開催されました。
■知られざる海の幸に舌鼓
雨が降りそうで降らない曇天の10月6日日曜日。
大漁旗映えする青空ではありませんが、それでもやはり漁船と空にはためく大漁旗は異世界に来たような感覚になります。
当日は漁船に乗って漁場を訪れる親子漁場見学会(市内在住の小学生親子対象)も開催されました。
長い行列ができていた試食コーナー。
その場で調理されたクロダイのつみれ汁は、出汁がきいたスープと柔らかいつみれがとても美味。
意外なことにこのクロダイ、鯛の仲間でありながら低利用魚とよばれる人気のない魚なのです。
小魚から野菜までなんでも食べる雑食(悪食)のため個体によっては臭みの強いものもあり、また養殖中の海苔も食い荒らしてしまう害魚でもあります。
そんなクロダイですが、安価で美味しく食べられるという消費者にとってのメリットも。
行徳海苔を守るためにも美味しくいただきましょう。
体験コーナーのひとつ海苔すき体験。
地元名産といえども意外と知らない海苔の作り方。
行徳の水産業を学ぶ良い機会です。
外来種ながらももはや三番瀬の特産ホンビノス貝。
スーパーの店頭に並ぶことは意外と少ないですが、漁港イベントならとれたてが手に入ります。
自分も購入し夕飯に美味しくいただきました。
キッチンカーグルメもお楽しみのひとつ。
今回は3店出店。
ホンビノス貝を使ったメニューもありました。
ジンバマンのネギもちほうれん草味ウィンナー入りでお腹満たされました。
■身近な水の環境に棲む生き物とふれあう
都市化が進んだ市川の海。
最後に工場や倉庫が建ち並ぶ市川漁港ですが、実はたくさんの生き物が棲息しています。
ボサ漁という手法で漁獲された魚介類を中心に、驚くほど豊かな海の生き物を一挙ご紹介。
木の枝を束ねた「ボサ」と呼ばれる仕掛けを海中に沈め、ひと月ほど経ったら引き揚げるボサ漁。
今回ボサの材料として市川市内の梨農家から提供された枝が利用されています。
8月のイベントで仕掛けたボサをこの日引き揚げ。
ボサにはどんな海の幸が棲みついているのでしょう。
今回のボサ漁でとれた魚介類はハゼやエビなど10種類以上。
背中に鮮やかなオレンジ色の筋が入ったエビはブラックタイガーでおなじみウシエビ。
ほかにもウシエビいた中でこの1匹だけレア色でした。
なんとボサにはワタリガニも。
市川の海にも生息してるのですね。
ツバクロエイとアカエイ。
どちらもしっぽに毒があるため取り扱いには気をつけて。
トチザメと一緒にいるおちょぼ口の魚は珍魚ギマ。
背びれと腹びれに太いトゲがあり、なんと2本の腹びれを足のごとく利用して地面に立たせることができるミラクル。
漁獲されるときにヌルヌルとした体液を放つため、外道として嫌われがちな魚ですが、カワハギに似た味わいの知る人ぞ知る珍味なのです。
かつてあみ富でギマフライを食べることができたのですが、残念ながら今年からは提供難しくなったとのこと。
食べてみたかったです。
ウナギは旧江戸川でとれたもの。
意外と身近にいるものですね。
■市川漁港の水揚げ作業見学
水揚げ始まりました。
魚介類の入ったボックスがベルトコンベアで次々と運ばれてきます。
ほれぼれしてしまうほど立派なスズキ。
試食会でいただいたつみれ汁の食材クロダイ。
外見だけだと低利用魚だとは思えないいぶし銀ないでたち。
仕分けられた活魚は、事前抽選に当選した方々に向けて販売されました。
三番瀬や市川船橋で水揚げされた魚介類を使った料理例の紹介。
ツメタガイやサルボウといったなじみの薄い食材も美味しく変身。
活魚販売も終了し、徐々に近づく祭りのフィナーレ。
ここで新たな催しウナギさばき実演が始まりました。
旧江戸川でとれたウナギを関東風の背開きでさばきます。
いまや絶滅危惧種とされるニホンウナギですが、旧江戸川など関東以西の広範囲に分布しています。
いつまでもウナギが棲める環境を保っていきたいものですね。
■海との心理的距離が近くなる催し
朝市やいちかわ三番瀬まつりの開催により、行徳における漁業や生物に親しむきっかけができた方が増えつつあるようです。
三番瀬や行徳周辺でこれほど多くの生物が棲息しているとは思ってもいませんでした。
まだまだ奥深そうな海の自然、今後も市川漁港へ通い甲斐がありそうです。
今年のいちかわ三番瀬まつりは終了しましたが、行徳の海に少しでも興味を持ったら、毎月開催の朝市にぜひ足を運んでみてください。
市川漁港の地図